Eno.139 薄井すもも

■ しまにうまれるくじら

赤い髪の少年が、いかだを作り上げる。
子供ともふもふの少女は大はしゃぎ。
だが、もっと船らしくしていこうと、目標を高く掲げた。
そのためにはもっと素材が必要だ。

皆で素材を集めるさなか、倉庫にある弓矢を背負って森へ行く子供。
数日前に猪を狩ってきた女神の姿に憧れていたのである。
狙いを定め、放つ。運よく一発で鳥を仕留めることができた。
獲物を持ち帰り、当の女神に褒められて上機嫌。

しかし浮かれてばかりもいられない。
島が少しずつ狭くなっていく。海面の上昇により沈み始めたのだ。
罠から食糧を回収しつつ、子供も木材集めを手伝う。

そうして皆で島中を歩き回り、集め、とうとう船の材料が揃った。
名前を付けようかという話に、子供が手を挙げて。
それを捕まえられたら背に乗って出られるかも、と、いつか皆で話した生き物の名を出した。
二人からも賛同してもらい、名が決まる。

『くじらごう』
海をわたる、大きなものの名だ。
見間違いから鯨を捕まえようとして海に飛び込んだ子供は、溺れた先で、鯨を見つける。