Eno.61 碧きワダツミの兄妹

■ ~番外~

――何処かにて。



* * * * *



「……………………、……ぅ……、……」



――ゆっくりと、目を開ける。

どうやら、私は気を失っていたらしい。

視界に広がる、見慣れぬ色彩。

此処は、一体――?



「……!
 バーティ殿下、お目覚めになられましたか!」

「……?
 …………?!

 お前、シャン?!
 無事であったの、か……ぅ」

「あぁ、御無理はなさらず……!
 かれこれ2日程、ずっと眠ったままだったのですから……」



目覚めた私の傍に駆け寄ってきたのは、執事として仕えてくれている従者の一人。

眠って……そうだ、私は確か……



「シャン、此処は一体……?
 お前が居るということは、私も……あの“海賊”共に囚われたのか?」

「いいえ。
 此処は確かに、陸の民の船、其の一室に拵えた水桶ですが……断じて“彼奴等”の船では御座いません」



そう言って、語られる経緯、其の真相――







「…………、……俄には、信じ難いな……」

「お気持ちは判ります。
 事実、我々から見ても、あまりにも目まぐるしく状況が変化しておりましたし……」

「仮に事実だとして、何れにせよ私は直ぐにでも発たねばならぬ。
 エスティを探さなければ……!」

「エスティ様の消息についても、現在進行系で捜索しております。
 尤も、“此の船”に乗る陸の民が言うには、漂流者捜索はエスティ様に限った話では無いようですが……」



「何れにせよ、殿下もまだ体調が万全では御座いません。
 エスティ様をお探しになる為にも、今はどうか、御自愛を」

「ぐぅ……」



数日に渡る強行軍と、長時間の昏睡。

其れ等は確かに、私を衰弱させているのは事実で。



「……エスティ……」



執事に宥められながら――悔しい事に、祈ることしか出来ない自分が居たのだった。