■ しおづけのおにく
うみの水が上がってきました。足もとがズルズルになってしまって大へんです。
そろそろ7日目になります。
さいしょに見つけたボトルメッセージにかいてあるとおりでした。
このままこのしまにいたら、つぎに目がさめたときはうみの中です。
しまをだっしゅつしないといけないので、しまのみんなのぶんのだっしゅつキットを、みんなでつくっています。
あたしはじぶんのだけつくってしまいました。
ほぞんしょくやベルトなど、よういしづらいものがいっぱいです。
まにあうかわかりません。
とおくのほうから、なにかの音がきこえてきます。
あれが、メッセージにかいてあったふねなのかもしれません。
きづいてもらうためにみんなでアピールすることにしました。
アヒルちゃんをいっぱいながします。
このおもいがとどきますように。
***

「──おや。シマシマ、日記をつけているのか?」

「何、日記をどう書くべきかわからないからアドバイスがほしいって?
日記なんてもんは自由に書くものだろうに。
まぁいい、中身を見せてくれ。どれどれ……」
***

「なるほどなぁ。今日の出来事について書いたとはいえ、どうも他人のことばっかりだ。
自分自身のことをこれっぽっちも書けていないじゃないか。
うーん、そうだな……」

「なるべく自分を中心に書け」

「ああ、自分から見える範囲だけで構わない」

「……大人になっても、子供の頃の出来事を思い出す時があるんだ。
今でもだ。いつか誰かと見た美しい景色、誰かと食べたサンドイッチを。
具材は……、ええと、なんだったっけな。……まぁいいか」

「でもなぁ。私がその景色を見て何を感じていたのか、これがだんだん思い出せなくなってくる。
正確には捏造──都合のいいようにねじ曲げられてしまうわけだ。
美化されて──キレイで面白いものにしたがるんだな、何故か」

「余計な手は加えなくていい」

「今この瞬間だ。
見えたもの、思っている事、ありのままを書くといい」

「お前の好きな石ころと一緒だよ」

「ふたつとして同じものはないのだから」
***