Eno.355

■ 其の十六 脱出

遂に便箋に書かれていた船が寄ってきたらしい。
存在を知らせる為に皆は奔走しているようだ。
その間俺は寝ていた。

保険用として船で脱出する為の道具も作られている。
かなり必要なものが多くて、一つ作るのにも
苦労が多いようだ。
俺は何もしてない、何にも手を貸してない。
水と塩用意してその気になってるだけ。

今まで俺ってなんか皆としたか?
ただ、騒いでただけじゃないのか?

自分一人が生きる為だけに自分の為の水を調達して
自分一人が生きる為だけに自分の為の食糧を調達して
自分一人が生きる為だけに行動をしていただけだ。
たまに余った資材や物を倉庫に入れて。

もし、船がこちらに気づかなかったとして。
俺はあの脱出キットを持って良いのか?
俺は皆と一緒に脱出する資格はあるのか?

あ、これダメな思考回路だ。
最近身体の疲れが取れないから精神まで疲れてるのかも。
んー……でも、
できるところまでは俺自身で頑張らないと、だよね。