Eno.295 クリームヒルト

■ 無題

当然のように小舟は転覆した。
ざあと、さっきまで耳障りだった波音は消え、その底へ、泡の足音と共に終わりの静けさへと近づいていく。

そこは『魔術の国』。他の国ではそう言われていた。
聞こえはいいがただの技術大国だ。
そこで生まれた自分は恵まれていた。
たまたまその才能があったのだから。

この世界では実力社会だから、地位など関係なかった。
そうだろう?俺はそう教えられてきた。

限りある荷物をそれでもなんとか離さぬよう……そして、