■ ウサギ

この前設置した狩猟罠がウサギを捕まえた。
ウサギは可愛く、少年はよくウサギと遊んだ。
「飼おう!」
(これ、食料にするつもりなんだけど…)


嵐が来たので、そろそろ殺して食べたほうがいいかもしれない、
そう思った彼女は少年が眠っている間にこっそりウサギを捕まえた。


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「この子がぼくの言うこと聞かないからさ」

「あなたもこうなりたくないよね?」
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「お兄ちゃんはもしかして…私を殺すつもりなのかな」

「お姉ちゃんどうしたの?」
「あ…空太君。……ちょっと昔のこと思い出しただけ」
「考えすぎ…たよね。お兄ちゃんは私を探しに来るよね。そうよね。」
彼女は小さな声で繰り返していた。そうしないと信じられないように。

「……その『お兄ちゃん』って、どんな人?」

「……大切にしてくれて、頼れる人だよ。きっと。」
彼女の答えは少しためらった。

「怖い人。たぶん悪いことしている。」

「酷いことをするけど…でも私に何かあったら助けてくれるよ」
「生活費の面倒もみていて……仕事も紹介してくれるし、欲しい物あったら大体送ってくれるし。彼がいなかったら、私一人では暮らせない…」
彼女の自己説得はどんどん小さくなり、やがて嵐の音に完全にかき消された。



「そう……」
少年は遠くを見た。

「……あの『お兄ちゃん』のこと、少し気をつけたほうがいいと思うよ」

「え?」

「あ、ごめん。不安にさせるようなこと言って」
「でもお姉ちゃんは、あのお兄ちゃんをこんなに怖がっているし、悪いことしたかもしれないって言ってたから、このまま大丈夫なの?」

「私も怖いけど、でも……」
「それでも、あの人は私のお兄ちゃんだもん……」
「……あの『お兄ちゃん』、羨ましいなあ」
少年のどこか寂しげで暗い顔は初めて見た。

彼女は少年を慰めたいが、何も言えなかった。
怪我したウサギは隅で野草を食べている。
いつの間にか倉庫に木の実と食べれる野草が増えていた。
