■ ◆ ◆ ◆
ぬかるんだ地面。
脚にまとわりつく泥混じりの海水。
足は重たく、一歩踏み出せばぐらつく。
水を吸った俵を引き摺るように重鈍なそれは、宿酲に苛まれる体でする歩みに似ていた。
長く生きていると考えることは多い
そしてそれはすぐ堂々巡りに陥る だから
考えることを止めるために酒は有用で
考えることを纏めるために煙草を喫む
解れを繕っているだけだということはわかっている
だけど
忘れられる恐ろしさを忘れるためには必要なことだ
わたしがいつか皆の記憶から消え去り、
わたしを伝える者が居なくなって、
わたしが変質しても、それは変わることはないだろう
…皆、どれくらいの間わたしを覚えていてくれるかなあ。
いつか忘れられちゃうことなんてわかってるのにね。
拠点に帰るぞ。
雑魚の釣果と網と、ほんのわずかな木をお土産に。