Eno.250 オクエット・ストレングス

■ ⅩⅢ.『今わの際に メイク・ア・ラスト・フュートル・アテムプト』

ファディ
「少し、『説法』をしましたが……
 説法をしたところで、といった様子でしたね……」


エヌ
「……。…………傷つけたのは、人間なのに……
 ……なんで、オクエットが……こんなことに…………」


ファディ
「……私たちは、道具ですから。
 占いに忠実に動く、シャルル様の創造物。
 そうある以上背くことはできない在り方です」


ファディ
「人間の願いに触れ、その願いに転機を与える。
 人間にとって我々は道具にすぎません。
 道具に感情移入する主人など、極僅か」


ファディ
「……それでも。
 私たちも、心を持たされていますから。
 やはり複雑な気持ちになります」


エヌ
「……人間は、身勝手に僕たちを使う。
 自分の願いが叶えば、それを喜んで。
 叶わなければ、僕たちを、駄作だとののしる」


エヌ
「……身勝手なのは、彼らの方だ。
 それに振り回されて、オクエットが傷つけられて……
 ……オクエットは、罪悪感を、抱いてる…………」


エヌ
「……何で、シャルル様は、あんな奴らの……ために……」


ファディ
「……あの人は、占いにしか興味ありませんよ。
 絶対に当たる占いを作りたかった。それ以上でもそれ以下でもありません」


ファディ
「ですが、我らは心をこうして持たされた。
 そこに、シャルル様の人柄はあると思っていますよ。
 だって、願いを叶えるだけであれば、もっと機械的でいいはずですから」


ファディ
「それをしなかったのは、あの人が人間の心もエゴも肯定しているから。
 なんだかんだ、人間が好きだったのではないのでしょうか」


ファディ
「……勿論、皆が皆、善性を持たされたわけではありません。
 あなたのような人がいる。
 お陰で冷静に、思慮深く機械的に人の願いに触れられる」


ファディ
「同時に、オクエットは……
 ちょっと、優しすぎるように創られましたね」





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うたがきこえる こまどりのうたが てらーとがきまって うたっているうたが きこえてきて あたまにひびいて かのじょのうたが こまどりが いばらをぬいて むねがまっかになって それで それで こまどりは ころされて そうぎがとりおこなわれて

だれがころした だれがよをころした こわした ぐるぐる ぐるぐる あたまのなかにひびいて いまわのきわの うたみたいに ずっとずっと きこえてきて こわいとおもっていたのが それが こわいとおもえなくて みをゆだねたいと おもってしまうのが おそろしくて ねむるのも こわいのに おきて いられなくて そしたら うたと ないている こえも きこえてきて いかりと うらみの ようなものが とどいてきて どうぐのゆめが また よにわるいゆめを みせるのだと

おもって

いや あれは ゆめ ではなくて


ああ ないて  いるのは なげいているのは

 よ ではな く   ぺおにい  でも  なく て



えぬ なんじ  で

 なんじ も     て を   ひい て い      て


ふた り   が

  い         て



あと  すこ し  だけ

 あ 

        と



もう   す          こし  だ    け


  う   ご        け




  ご    け

           う


                    ご




                          け





       う




            ご



   い







                  て