Eno.403 ジセレカ・キサラギ

■ 沈みゆく姉とシマ

このシマで過ごすのも、あと1日だ。

思えば、みんなに出会ってから、それぞれ協力し合って、生き残ろうと頑張っていた気がする。
食糧を集めるために罠をたくさん作って、水を集めて飲めるようにして。
住みやすいように木をたくさん集めて、拠点を組み立てて。

お風呂に入ったり、料理を作ったり、しょうもない話をしたり。

ハリケーンが過ぎ去ってから、皆が脱出に向けて動き出した。
フォグが、みんなが乗れるように大きな船を作ってくれて。
サートがみんなが船に乗り込むための荷物をまとめてくれた。
サートは冒険者をしているから、こういうことには慣れているんだって。

フォグに頼まれて、木を集めに森に入ったとき、森が、沈みかけていたのに気づいた。
足元がぬかるんで、うまく歩けない。きのみも草も、手に入りにくくなった。……すごく、つかれた。

いつものお風呂に入ったら、傷にお風呂のお湯がしみた。痛い。きっと、海の水が混ざっちゃったんだ。

……少しずつ、このシマは沈んでいっている。
もう今日中には、完全に沈んでなくなってしまうのだろう。

ボクは……ボクの、やりたいことは……

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実を言うと、私には文明というものが、ひどく恐ろしいもののように感じられた。
このまま生活を続けていれば、いつかは文明ができて、産業が発展する。そうなれば、私の世界の二の舞になってしまうのかもしれない。
私の世界は、オーバーテクノロジーによって人間を滅ぼし、先の見えない人形達の世界になったのだから。
このシマに思い入れのあった弟には酷な話だけど、ちょうどいい引き際なのかもしれないね。

シマも、私も。

秘伝のレシピは伝授したし、ジセレカはジセレカなりに、やりたいこと、見つけたみたいだし。
私はジセレカの中に沈んで、特等席で見守ろうじゃないか。

それじゃあ、ケイ・キサラギはこれにて閉店ガラガラ、なんてね。