■ 《52: アノーヴァ・ピィヴァルの日記 - 記憶・7》
ヒロユキ・ハギワラ。
タカアキ、ナオキ、ミキ……彼らと前後してオルタナリアに降り立った勇者の一人。
私は結局共に旅をすることはなかったから、きちんとはわからないのだけど……あまりにも純粋な少年だったようだ。
どんな物事にも解決はあり、それをもたらすことこそが勇者だ、と信じて疑わず……『地球』にいた頃から、善をなそうと必死になっていたらしい。
そんなヒロユキの目に、私達のオルタナリアはどう映ったのだろう。
永きに渡りつちかわれてきた魔法文明と、新たに興った機械技術の対立……
未だに残る、ウミの国と各国、それと東西大陸の間のあつれき……
歴代の勇者たちがことごとくサピエ人族の姿をしていたことから生じた、種族間の差別……
そして、すっかりと変化してしまった、人々が向ける勇者への目……
勇者はその使命―――始祖竜の力を借りてのバケモノのせん滅———それを果たした時、ほうびとして創世の女神ミーミアに願いを一つだけ叶えてもらえる、という。
ヒロユキの願いは、亡くなった大切な人を蘇らせることだった。
その人は、自ら命を絶ってしまったらしい。
……オルタナリアにおいては、文化を問わず罪深いこととされる行為だ。
それに今となっては、自らバケモノに変じるも同然の行為、ということにもなる。
だが、何があっても、何を見ても……
ヒロユキは、その願いだけは変えなかった、らしい。