Eno.140 レイ

■ よんじゅうはち

やったこと
・だっしゅつきっとをつくった


作ったな。脱出キット。保存食だけ、倉庫にあったやつをもらった。ありがたい。香辛料が……本当に見当たらなかったから……
これで船に乗ったら、安心安全の脱出だ。
何かあっても、大丈夫。
それに、みんなで乗り合わせる船だ。今だって協力しているから、船の中で何かあっても、また、きっと、大丈夫なんだろう。

…救助船を待つのも楽しそうだけどなあ。俺はそれでもいいなとずっと考えている。
いざとなったら、船に乗るやつの誰かに渡すことも想定しておこう。
俺には、いくらでも時間があるからな。早く帰りたい人もいるだろうから。

…島が持つか、わからないが。来る救助船に、気づかれない心配は、特にしてないんだな。
だって…虹色に輝く狼煙があるしなあ………………来た船が怖がって逃げないことだけを祈っている…………




◇ ◇ ◇

…いくらでも時間はあるんだ。

沈むまでなら、いくらでも。
きっと待つ人もいないのだろう。

別に思い出さなくても、いいのだけど。
船に乗り込むなら、行き先が、わからないと。
降りる時に、迷惑がかかるかもしれない。


頭が、ごちゃごちゃ、として。


俺はどこから来たのか。

何をしていたのか。

なんで簀巻きになんかされて、流されたのか。



─本当に、奴隷なのか?

俺は、奴隷だったのか?





──


白い壁と、白い天井が、瞼を閉じたその裏側に、見えた、気がした。

清潔な、場所だ。金属の床に、寝かされていた。


ほんの少し、鼻につんと来る香りがした。



チャリチャリ、と鳴るのは鎖の音。



針が、光っている。


それらが、瞼の裏に、見えて、聞こえた、気がした。