■ よんじゅうはち
やったこと
・だっしゅつきっとをつくった
作ったな。脱出キット。保存食だけ、倉庫にあったやつをもらった。ありがたい。香辛料が……本当に見当たらなかったから……
これで船に乗ったら、安心安全の脱出だ。
何かあっても、大丈夫。
それに、みんなで乗り合わせる船だ。今だって協力しているから、船の中で何かあっても、また、きっと、大丈夫なんだろう。
…救助船を待つのも楽しそうだけどなあ。俺はそれでもいいなとずっと考えている。
いざとなったら、船に乗るやつの誰かに渡すことも想定しておこう。
俺には、いくらでも時間があるからな。早く帰りたい人もいるだろうから。
…島が持つか、わからないが。来る救助船に、気づかれない心配は、特にしてないんだな。
だって…虹色に輝く狼煙があるしなあ………………来た船が怖がって逃げないことだけを祈っている…………
◇ ◇ ◇
…いくらでも時間はあるんだ。
沈むまでなら、いくらでも。
きっと待つ人もいないのだろう。
別に思い出さなくても、いいのだけど。
船に乗り込むなら、行き先が、わからないと。
降りる時に、迷惑がかかるかもしれない。
頭が、ごちゃごちゃ、として。
俺はどこから来たのか。
何をしていたのか。
なんで簀巻きになんかされて、流されたのか。
─本当に、奴隷なのか?
俺は、奴隷だったのか?
──
白い壁と、白い天井が、瞼を閉じたその裏側に、見えた、気がした。
清潔な、場所だ。金属の床に、寝かされていた。
ほんの少し、鼻につんと来る香りがした。
チャリチャリ、と鳴るのは鎖の音。
針が、光っている。
それらが、瞼の裏に、見えて、聞こえた、気がした。