Eno.110 永久の旅人

■ Q.<旅行>について行くことは可能ですか?


嵐が去って、脱出の準備も整った
となれば ここに来る理由も自ずと察することができるでしょ

(お別れの挨拶をしなくちゃ、ね…)


お別れをする前に嵐の話を少しだけして

私の世界にも<台風>はあるけれど、ここまで酷くはないという話をしていたら、記憶が戻っていることに気付いてくれて

(アヤノちゃんには、私のことを話してもいいのかも知れないわね)




旅行鞄から古ぼけたアルバムを取り出すと、過去の思い出の写真をパラパラとめくり、今までの冒険譚を語り始めました

アルバムは一冊に留まらず、新しいものから古いものまで、どのページにも西島が写りこんでいるのと、あまりにも膨大な量で 彼女が何十年も、何百年も旅を続けていること、既に人ではないことを示唆していました



(ふふ、おとぎ話だと思われちゃうかしら?)


そう、思っていたのに
アヤノちゃんは熱心に耳を傾けてくれて
本当にいい子だな、と思った

だけど、私の話を聞いたアヤノちゃんからとんでもない言葉が飛び出してきて…



『アヤ、マリーお姉さんに、ついていけない、かな……』



(…え?…え??)


困惑する私を余所にアヤノちゃんは自分の元の世界のこと、家族のことを話してくれて…

最後に<家に帰りたくない>
と、強い意思をもって答えた

私の旅行に興味本位で着いていきたいとか、嘘や冗談ではない…これは本気なんだ
でも、だからと言って容易く私の呪いに付き合わせる訳にはいかないわ
思い直して、もらわないと

「アヤノちゃん
勘のいいあなたなら もう分かっているかもしれないけど、私の旅は自分で行き先を決めることが出来ない<ワールドツアー>なの」

「だから、ね…
私について来たらお家に帰れなくなるかもしれないの」

「運よく帰ることが出来ても、そこは過去かもしれないし、未来かもしれない」

「一度来てしまったら後戻りできなくなるけど、それでもいいの?」


それはとても大事なことで
大切な人だからこそ、念を入れて

(でも、もしも、
あなたが望んでくれるのなら…)