Eno.403 ジセレカ・キサラギ

■ ねむれないよる

船ができた後からが、ボクにとっての本当の戦いだった。

仕込みをしたり、肉を捌いたり、海水を蒸留したり。
思い浮かんだ料理を、お世話になったみんなに振る舞うために。

ここで採れたきのみをふんだんに使ったカレーライス
鶏肉の旨味とスパイスのよく効いたラーメン
甘酸っぱくて、ひんやりするオレンジのソルベ

……そして、セト様お手製のサンドイッチ。

やっぱり料理は楽しいな。

それと、花火を打ち上げた。
燃え盛る花を見たときに、火薬と組み合わせて、つくれないかなって、思って。
実はボクもほんものの花火は見たことがなかったから、うまくいかなかったらどうしようって、思ってたけど。

すっごく、きれいだったな。
いろんな色の火花が、おおきく空に散って、ぴかぴかしてて。
どーんっていう大きな音が、シマを盛り上げて。
花火に照らされながら食べるごはんも、すごく美味しかった。

あとね、みんなで、サートに恋バナきかせてーって、お願いしたんだよ。
婚約者がいるってなると、やっぱりお話、聞きたくなるでしょ?
出会いのきっかけとか、どこが好きとか、告白はどっちからとか。サートは途中までしか話してくれなかったけど。
それは、次に会えたときの、お楽しみにしとこうかな。
サート達にする依頼、考えておかなきゃ。

あと、西島も自分のこと、分かったらしい。
それはすっごくおめでたいことだなって思った。
ボクも自分のことが分かるようになってから、やりたいことをいっぱい見つけたし。
花火を打ち上げたのは、お祝いでもあるんだ。

あともうちょっとで、船出の時間だ。
このシマが沈んじゃうのは寂しいけど、ボク達はちゃんと、生きてて、未来に進んでる。

……なんだか、ワクワクして、眠れなくなっちゃったな。