Eno.139 薄井すもも

■ みんなのくじらとめがみのめぐみ

島に、どこからか笛のような音がかすかに響いてくる。
遠い音を聞きながら、赤い髪の少年の手により、『くじらごう』が組み立てられた。
皆の探検の成果が、ひとつになり、海をわたるものの形へ。

もっとだ。もっと強くしていこう。三人の野望は止まらない。
みんな怪我をしない程度に、というリーダーからの優しい言葉をもらいながら、たくさん木を集めるのだと息巻く子供。

と言いつつ木材を使ってそりを作った子供。
消費した木材はこれから取り返そうと、自分で仕留めた鳥を味わい、気合を入れた。
さらに倉庫の猪肉で満腹になり、いざ森へ。
鉄の斧でばっさばっさと枝をなぎ倒してそりへ突っ込み、持ち帰ってぱきんぱきんと割っていく。
これまではリーダーに任せてばかりだったその仕事の大変さを、子供は学んだ。

そんな疲れた子供の手にさっそうと渡される、Meat club house sand
いかなる時も楽しさを忘れないもふもふの少女の手による、香ばしいパンに旨味たっぷりの肉を挟んだ豪快サンドイッチだ。
女神の恵みは美味。目を輝かせ無心で食べる子供。美味しすぎて秒で食べてしまう少年。

ボスが料理上手なのだと語りながら、自身もまた料理上手である少女は、船の材料を揃え。
そして、しっかりと調理を施された食事で英気を養った赤い髪の少年が、薪を積み上げ。
せわしく動き回ったことで、全員へとへとになりながらも。
『くじらごう』を強くするための材料が、集まった。