Eno.440 ベルベリィ

■ 筆まめじゃないけれど

拝啓、お父様とお母様

本日はお日柄もよく、いや知らないけど、晴れの多い私の実家近くは晴れていることと思います。

私、ベルベリィが居なくなったことで大変なご迷惑と心配をかけていることと存じます。
だけれど、申し訳ありません。
もうしばらくは、私、帰らないつもりでいるんです。

この生まれと、不似合いな性格が引き起こした、幾らか不運な私の交友関係については。
お父様お母様はよくよくご存じであると思います。
だからこそ、一人遊びの高じた変わった趣味のことも、よくご存じだったと思います。
クラスの海外研修をサボって、一人屋敷を抜け出した私の気分も。
由緒ある■■■■■家の娘として、当然、一度だって弱音は吐かなかったし、
これからも吐くつもりはありませんけれど。

私のバカンスは、思っていた行先とは違ったけれど。
思っていたのとは違った結果をもたらしました。

誰かと分け合って美味しいものを食べる瞬間も。
協力し合って一つのことを成し遂げることも。
マンガに見た休み時間みたいに、軽口をたたきあう時間も。
好きなものや、心が弾むものを囲んで、友達の笑顔を眺めるパーティーも。
テレビやお話の向こう側じゃなくて、私の下にやってくる日があるなんて。
夢にも……いや、夢くらいには思っていたけれど。
正しくは……こんな風に叶うなんて思わなかった、かな。

私、まだもう少し、みんなと過ごします。
だって、友達と過ごすって本当に楽しいんだもの。
大好きな日本も観光したいし、
とおくの宇宙の話も聞けたし、
まだ見ぬ故郷を確かめたい相手だっています。

だから私、バカンスに出かけて良かったって。
今は心から、そう思っています。

その楽しさの、延長戦をすこし味わってくるけれど。
きっと無事で帰るから心配はしないでよね。

二人のかわいい愛娘、ベルベリィより。

「……ま、こんなとこかしらね!」