Eno.68 觥 美鳥

■ 社務記録12

船が出来たみたい。
もう、凄いって言葉も、言い飽きるくらいだよ。
わたしは何も出来なかったけれど、心からお祝いしたい。

まぁ、この後の船旅。
これで何もかも解決、って思える程、楽観的では無いけれど…。
良い方向に進んだんだって、そう思おう。
これで、みんな、無事に帰れると良いな。


…出会えば、別れが在るから、何時だって最後は、さよなら。
さよならだけが人生だ。

でも、別れが在っても。
出会った事は、変わらない。

そういう意味、なのかな。


自分の右手を、見詰めても。
頼りない手が、伸びるだけだけど。
この手の届くところに、あなた達が居た。
わたしには届かない、輝く様な、あなた達が居た。

わたしがそうなれない、なんてことよりも。
確かにそこに、あなた達が居たことの方が。
ずっと、ずっと。

「――わたしはもう、充分に…幸せだよ。」