■ 心配で仕事にならねェ……もうダメだ……
この前、ナンナが無人島にすっ飛ばされて帰ってきてから、アイークがスエンをサバイバルさせて見るのもいいかもな、だなんて呟いてるのも聞いたし、何かを企んでるなあとは思ってはいたんだよ。
だが、まあ……スエンはナンナやイナンナと違ってTHE吸血鬼みたいな体質になっちまったし、ガンガンに照りつける日差しの下でサバイバルなんて流石にさせないだろうって、思ってたんだ。
まァ……俺の考えが甘かったんだが。
スエンが無人島に送られちまってからはもうさっぱり仕事が手につかなくなっちまって、もうこれはだめだなって悟った俺は見習い──いや、もう見習いじゃないな──異父弟に留守を預けることにした。
地位も同じでウチの事情も家族のことも知ってるやつはあいつくらいしか居ねえ。
『甘やかすこととダメにすることは同じ意味ですよ。そうやって過保護にしてるといつまで経っても成長しないと思うんですが💢』
とか、なんか言ってきたけど、仕事にならねぇんだから仕方ないだろ。
なんだかんだ言いながらも、仕事を引き受けてくれるのは助かっている。
まァ……癪なので直接には礼は言わないが。
後日、あいつの領地の方に物資を送り届けるとしよう。
しかし、無人島でのサバイバルか。
森で潜伏したりサバイバルしたりってのは、慣れているんだが、海はどうだか。
それにサバイバルしていた頃は半分死人で、飢えも痛みも関係なかったし、無理が効いたんだが、
今は幸か不幸か生身の身体を得ちまった。
スエンが死なねえように全力を尽くしたいところだが、俺自身も死なねえように対策しないとな……。
ナンナに炭になった魚を散々食わされた時にも思ったが、生身の身体ってのも難儀なもんだなァ……。
とりあえず、ナイフと鍋と火打ち石を持っていくとしよう。
ナンナが水が足りなくてほんと大変だったんだとずっと言ってたしな……ナンナから聞いた情報が正しければ、これで蒸留器をなるべく早く手に入れられるだろう。
あとは食料か……生憎、俺も流れ水は勘弁願いたい。
海で食料を得るなら釣竿が欲しいところだな。
……スエンのことは心配だが、スエンに惨めな姿を晒しちまわないかってのも心配だ。