■ 星の支配者
オリーブの木へ、人間の耳が拾えぬ音を渡す。

〝───どうか我々が旅立つことを、お許しください。〟
時という概念を持たず、季節だけで年月を知る生命。
それが植物という存在だ。
退屈など感じる筈も無い。
が、しかし。
変化はあるべきだ。
空へ向かって伸び続ける木。
朽ち果て、新たな生命の糧となる葉。
変化こそ、“大いなる自然”が生きている証拠である。
たとえその変化が、人にとって受け入れ難くとも。
人が大いなる者たちに逆らうことなど、不可能だ。
無論、技術的には可能であった。
しかし───人は欲してしまう。
分かり合えなかった。
通じ合えなかった。
国家の枠組みを越えた星の運営は失敗に終わり、人間は淘汰された。
植物
人がいない世界で、彼らは今日も穏やかな日々を送っている。

大地を支配するのは、いつだって欲を持たぬ者たちだ。