Eno.132 死なずの獣、回向

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水を入れる竹筒。
煙草を刻むための包丁。
ライターは無くしちゃったので火打ち石。
釣り竿。
羅針盤。
筆と紙。
寝るのにちょうどよさそうな枕。
最強脱出装備。

「此処から出た後も生きてかなきゃならん、
なら道具はあるに越したことはないもんな」


燃えている花。
冷たい花。
小さな紫の花。
種が弾ける花。

「島に生えてた植物だなぁ。
自分で取ってきたものじゃあないが…
今更怒られないだろ」


誰かが作った香草の詰め合わせ。
海賊の帽子。
遊戯用の玉。
アヒル。
山札。

「ヒマつぶしだ! すごく大事!
無人島に持ってくなら?って聞かれたら、
わたしは間違いなくヒマつぶしと答えるぞぉ」


皆が写った写真。
小さな貝殻が繋ぎ合わされた首飾り。

「これが、一番大事な物だな」


「この二つは傷つけちまわないように、
布に包んで懐にしまっておこ〜」







「うし。荷物の整理が終わったから…
後は右往左往する人を眺めてるだけだな!」


「……」


「…… ……」


「…皆、それぞれの場所に帰れるんだぜ」


「…… ……」







「皆別れちゃうのが、元通りなんだよな?」




「そもそもわたしたちは、偶然この島に一緒に遭難しただけで、本来なら出会うはずなくて」




「だから、いつかは皆こうやって、それで…」




「……」











「…最後まで、この拠点はボロだなぁ。
こんな日なのに雨漏りするなんて」