Eno.253 半人半鯱のサート

■ そして旅はわかれて続く

色々やりつくしてしまうと静かなもんだ。
……アヤノめ、したたかなやつ。フートのことはそこまで言うつもりじゃなかったんだけど、
このアイスと好奇心と7日間に免じてやる……

さて、帰ったらまた忙しくなるぞ。
この島で起こったこと……この世界のこと。
ここを『絶海の世界』と仮称して、
あたらしい世界の発見を半人外たちに伝える。
新しい物好きの国だから、きっとあの海に繰り出そうとするやつが出るだろう。
それとも、漂流者を助けに行くようなお人好しがいるかも。
……あと、バームクーヘンの木や漂着船のお宝を狙うやつ。
いい刺激になってくれると良いけど、
漂流者が増えないようできる限りの情報を残していく。

そして『山のカンムリ亭』のことを逆に皆に伝えた。
依頼がもし届いたのなら、また皆に会う口実になる。
依頼料も取れる、良いことじゃないか。
……アニスあたりが質問攻めにしないようブレーキかけないとならんが。


新しい旅ができるのは、俺に帰る場所があるから。
フートが待ってるし、
宿のベッドが待ってるし、
そのあとは新しい冒険が俺を待ってる。
濡れたノートはこれ以上濡れないようしっかりしまって。
いつかゼンの石像が海を突き抜けて頭を出す頃に、
また誰かと会えるといい。

だから帰る場所まで、この船で。

「みんなー、今帰るぞーっ!」

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「ひま~まだつかない~?」
「ポイントはこの辺りのはずですよ、計器が強く反応し始めています」
「ねえ、あれってサートのビーチボールじゃない?」
「もう2週間もたってんだぜ?ここにプカプカしてるわけ」

「……ある、ってことは?」

「……ここから海流がズレてるよ」

「行けそう?」
「行けるよ!今こそ仮定が確信に変わるとき!」

『サート!今迎えに行くよーっ!』