Eno.34 SE-38

■ SE-38-00

 


▼ ――――男は語る。脳内で。
 

「気づいたらですねえ、落ちてたんですよ。
 真っ暗な場所に……」



▼ さざ波が聞こえる。ここは、砂浜。

「びっくりしましたねえ……落ちた先ですが……
 たまっ……たま。ふかふかの捨てられた布団の上にいたんです。
 よ、よかった~!と暫く安堵で動かなかったんですが」


「……それが間違いでした。いやァ、アレは悪魔の布団でしたね。
 あまりに気持ちよすぎてそのまま寝ちゃったんですよ。
 そりゃあもう爆睡してましてねえ」



▼ てちてち。かにが歩いている。が、すぐに穴に潜り行く。

「突然ガコンッ!!!って音が聞こえて。
 驚いて跳び起きた時には……」


「……遅かったんです。ガラガラガラガラーッ!!!の音と共に。
 一緒に水に落とされたんです」


水しょっぺー!が第一の感想。確信しましたよ。
 我々は海に、落とされてしまった……と……」



▼ 我“々”とは。砂浜にたたずむ今、男は一人なのである。
  この男、雰囲気でものを語っている。

▼ それはさておいて一つため息。男は空を見上げた。

「そして今、我々はこの地にいる。
 そう、“流されちまった”……今、オレは学んだぜ」


「うっかりごみ捨てトラックに落ちたら寝ずに脱出しろ……ってこと」



▼ フッ、と笑った。

「というわけでオレ、絶賛遭難中★だぜ~!!!」



▼ 男は叫ぶ、割といい大人なので心の中で。

ま、何とかなるやろ~。適当に頑張って生きてこ~ぜ」



▼ こうして男の島流<シマナガサレ>生活が始まった――――。




「……このノリ、飽きたしもういいな」





▼ 以後通常テンションで記録が行われるかもしれない。
  行われないかもしれない。


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 本日の持ち物メモ

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 ★野生の鍋★

「いたって普通の鍋だな。何か使えんじゃね?
 なんか流れ着いてた時にあったから拾った。
 オレの知らねえ鍋だし野生の鍋だろ~」



 ★ぬくぬく寝袋★

「睡眠マニアみて~な部下から貰ってたぞ。
 正直今となっちゃめちゃくちゃ助かるぜ。
 ……乾かすのには苦労したけどな~」



 ★画面の割れたスマホ★

「オレの相棒~!!!こんなになっちまって……」


……ま、いっか。経費で買いなおしたろ~。
 どうせ仕事の連絡でしか使わね~し?それくらいいいだろ多分。
 何なら元々こん位バキバキだったしな~