Eno.52 明智桜太郎

■ 明智桜太郎の事件簿5 七件島の魔女

「まず、俺が考えたのは、魔女が誰かはおいて。何故、殺そうと思ったかです」



「当然、被害者家族、あるいはいじめられた本人ならその動機はあるはずです。だが、全員シロ。ただ、アリバイだけで、”誰かに依頼した”可能性はゼロではない」



「その全員が共通して通話していた、あるいは接触していた人間を洗い出すと、不思議なほどにかかわりのあるものがいました」



「……少年犯罪被害者の会。被害者家族のセラピー体験と、少年犯罪の厳罰化を訴える団体と、接触していました。通称、『椋鳥の会』」



「当然警察も接触しなかったわけではないが、調査は行き詰った。なぜかといえば、その代表は既に死んでいたんです。ジャーナリストだったその男性は、もみ消された少年犯罪について追跡調査し、それが不都合なものに嫌がらせをされ続けた結果、精神を病み……事故で死んでしまっていたんです」



「その妻もその時に死んでいて、その男性の両親も高齢で亡くなっている。第一、あくまでそういった犯罪被害者を第三者の立場から助けたいという人間ですから、動機も薄い。調査はそこで一旦おかれました」



「ただ」



「娘が、いたんです。彼と、その奥さんの間には娘さんがいて、彼女は引き取られていきました」



「あなたですね?」



「高い樹の上に存在していたトリックは、何年も前に仕組まれていたもの。花もそう、船の腐食もそう。ワインに入った毒物もです。それは、あなたが何年も前から――この島をそうしようと企んでいたからこそできたもの」



「そして、この島の持ち主である老人の家政婦になっているということが。あなたがこれ以上ないほど、緻密に、殺人計画を考えていた証拠です。
いや……下調べをした上で、独居老人で、豊富な金を持つ彼のところに、仕事にきた。
そして、彼に協力を頼んだんじゃないですか。
彼は、島を購入したうえで、あなたが何をしても見てもいないふりをすればいいだけだった。
罪の意識がないなら、警察の追求も楽に回避できる。
家政婦をいちいち警察も調べません」




「老人の家政婦になって、説得して島を買わせ。
何年も前からトリックを仕込み、
無差別殺人を数多、繰り返し。
お父様の死んだ理由の一端を担った少年犯罪者を殺し、
ドラッグパーティを起こしたことで隠蔽させ、警察の調査をずさんにさせた。」




「七件島の魔女は――あなたです」