Eno.108 アノーヴァ・ピィヴァル

■ 《57: アノーヴァ・ピィヴァルの日記 - 記憶・10》

あの大爆発のあとにヒロユキがどうなったのかはわからない。
もちろん、探しはした……なのにどこにもいなかった。生きているのかどうかさえ、わからなかった……

私たちはとにかくナオキやミキ、他の仲間達と合流し、残る始祖竜の力を授かるべく奔走した。
もう時間はなかった。バケモノや教団のことだけじゃない。
事態はオルタナリアの民同士の戦争に発展しようとしていたのだ。テツの国は大きな損害を受けていたが、軍備だけは驚くべき早さで立て直してみせた。そして、"オルタナリアの抱える問題を全て解決すべく"機械の軍隊をハナの国へと差し向け、チエの国もそれに呼応し……

ほどなくしてテツの国・チエの国連合軍とウミの国海軍が、西方の海域にて衝突……圧倒的な勝利を収めた。
その結果をもって、彼らはこの武力をもってすればバケモノさえも制圧でき、となれば勇者はもはや不要かつ危険な存在なのだと宣言した。
……私たちは、オルタナリアの人々にすら追われる者になりつつあった。
それでも、始祖竜の力でバケモノを一掃することさえできれば……少なくとも敵視はやめてくれるだろう。
そう信じて、私たちは歩み続けた。
だけど、一人また一人と、散り散りになって……

最後まで安否がわからなかった仲間が、一人いる。
……イデナ・イデリア。尻尾が二つ生えてる、猫獣人の女の人。
ヒロユキがオルタナリアを訪れたとき、彼女が迎えに行って……それからずっと、仲良くしていたらしい。

イデナはあの間もヒロユキとずっと一緒にいたのだろうか。
……あるいはもう、いなかったのか。
今となってはわからない。

私は、ついに一人きりになり……疲れ果て、倒れ……
二度とは覚めぬ眠りについた。

その、はずだった。

波の音と砂の熱とが、私を目覚めさせ……
再び開いた目に映ったのが……この島の景色だった。