■ 最期の日

…… …… ……
雨粒が窓ガラスに激しく音を立てぶつかる。
明日には戦争が始まるだろう、拠点で荷物を纏めていた時だった。
「なあ、今日はやけに海が荒れてるぞ。
嵐でも来るんじゃないか」
「雷に打たれるのも銃で撃たれるのも同じだろ。
どうせ死ぬんだから」
「…………。」
ぼんやりと窓の外の荒れ狂った海を見つめる。
仲間たちの声は少し震えていた。
「ミツはどう思う?」
何も選ばず後悔して生きるくらいなら、
自分の意思で行動して死んだ方がずっとマシだ。
誰に言われた訳じゃないけど、
俺は自分自身の考え方に忠実だった。
だから自ら戦いを選び、勇ましく死にに行くのだ。
襲撃に怯えて逃げ続けて、結局最後は殺されてしまう前に──。
「……おれは、行く。
もし心配なら、おれだけで行ってもいい」
無謀な判断は、のちに青年の身体ごと呑み込む事になる。
深く深く、波にさらわれてずっと遠くへ。