Eno.122 ヨーデル・アブラホリ

■ 日本語の日記 十五頁目

 
先程、ふとトイレに立ったら、
この間のチゲ鍋により、
突如として拙者の尻がロック魂に覚醒して、
廊下に悲しげなボヘミアン・ラプソディを垂れ流すはめになったでござる。
あの忍者ぜってぇ許さねぇ……。

とは言え、全員分の脱出用キットが揃った今は、
多少ハメを外しても構わないでござろう。
拙者自身は、到底間に合うとは思っていなかったから、
手渡されたときには驚いたし、
『最も死ぬ準備が出来ているであろう人間』として固めた覚悟は、
早々に手放してしまった。

誰も置いて行かないで済むなら、
それに越した事はないでござる。

小鳥遊殿が皆の前で掲げた石は、
拙者らにそれが持つ記憶を分け与えた。
やっぱりアレ、隕石か何かだったのでござろうか?

ともかく、それによると、
この海は『意思』を持っているそうで。

何からも隔絶され、見捨てられてきた海。
拙者らを生かして陸に上げたのも、
寂しさ故だったのでござろうか。

ウィー殿の言う通り、
拙者らを帰さぬつもりなら、
船の完成を放って置くはずがない。

ならば、拙者らはまた取り残される海の手向けに、
盛大な音の祭典を残して参ろう。