■ 日本語の日記 十五頁目
先程、ふとトイレに立ったら、
この間のチゲ鍋により、
突如として拙者の尻がロック魂に覚醒して、
廊下に悲しげなボヘミアン・ラプソディを垂れ流すはめになったでござる。
あの忍者ぜってぇ許さねぇ……。
とは言え、全員分の脱出用キットが揃った今は、
多少ハメを外しても構わないでござろう。
拙者自身は、到底間に合うとは思っていなかったから、
手渡されたときには驚いたし、
『最も死ぬ準備が出来ているであろう人間』として固めた覚悟は、
早々に手放してしまった。
誰も置いて行かないで済むなら、
それに越した事はないでござる。
小鳥遊殿が皆の前で掲げた石は、
拙者らにそれが持つ記憶を分け与えた。
やっぱりアレ、隕石か何かだったのでござろうか?
ともかく、それによると、
この海は『意思』を持っているそうで。
何からも隔絶され、見捨てられてきた海。
拙者らを生かして陸に上げたのも、
寂しさ故だったのでござろうか。
ウィー殿の言う通り、
拙者らを帰さぬつもりなら、
船の完成を放って置くはずがない。
ならば、拙者らはまた取り残される海の手向けに、
盛大な音の祭典を残して参ろう。