Eno.27 空屋敷 景

■ 空屋敷忍法帖 ~ 其ノ捌:終幕 ~

 

今日、ついに島を出発した。
日本へ帰れば家族にも会えるだろう。

僕に両親はいない。

赤子の頃、海辺に捨てられていた僕は
ある老人に拾われ、義理の孫として育てられた。

1人で生きられるようにと教えられた古武術が、
世間では忍術と呼ばれるものだと小学校で知った。




忍びの掟において、祖父との約束は絶対だった。

中学校の卒業を控えたある日の夜、
祖父から「果ての島高校」の入学を薦められた。

高校へ通うにあたっての約束ごとは4つ。


 一つ、忍びであることを知られるべからず。
 一つ、禁術は決して使うべからず。
 一つ、毎日の出来事を隠さず報告すること。
 一つ、正月は必ず帰省しお年玉をねだること。



祖父は孫を東京に行かせるのがイヤみたいだ。


じゃあなぜ地元の京都ある高校ではなく
僕に1人暮らしをさせてまで
東京の私立高校に通わせたのだろう?


日本に帰ったら詳しく聞いてみよう。



僕を忍びとして強く育ててくれた爺様に

島での日々と、友達のことをたくさん話したい。




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同時刻、京都府 空屋敷道場───



 東京都 『果ての島高校』……

 京都桔梗院の占いでは近い内に
 大規模な神隠しが起きると出ていた。

 やはり巻き込まれたか、景よ。


 お前には重慶の持つ技の全てを教えた。

 暗き夜、宮に迷うなかれ。

 汝を照らす明かりを見つけよ。


 無事生きて帰るべし、幼き孫よ。

 友を助けよ。友に助けられよ。

 空屋敷重慶、カレーを作りて待つ也。








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