■ 空屋敷忍法帖 ~ 其ノ捌:終幕 ~
今日、ついに島を出発した。
日本へ帰れば家族にも会えるだろう。
僕に両親はいない。
赤子の頃、海辺に捨てられていた僕は
ある老人に拾われ、義理の孫として育てられた。
1人で生きられるようにと教えられた古武術が、
世間では忍術と呼ばれるものだと小学校で知った。
忍びの掟において、祖父との約束は絶対だった。
中学校の卒業を控えたある日の夜、
祖父から「果ての島高校」の入学を薦められた。
高校へ通うにあたっての約束ごとは4つ。
一つ、忍びであることを知られるべからず。
一つ、禁術は決して使うべからず。
一つ、毎日の出来事を隠さず報告すること。
一つ、正月は必ず帰省しお年玉をねだること。
祖父は孫を東京に行かせるのがイヤみたいだ。
じゃあなぜ地元の京都ある高校ではなく
僕に1人暮らしをさせてまで
東京の私立高校に通わせたのだろう?
日本に帰ったら詳しく聞いてみよう。
僕を忍びとして強く育ててくれた爺様に
島での日々と、友達のことをたくさん話したい。
──────────────────────
同時刻、京都府 空屋敷道場───

東京都 『果ての島高校』……
京都桔梗院の占いでは近い内に
大規模な神隠しが起きると出ていた。
やはり巻き込まれたか、景よ。

お前には重慶の持つ技の全てを教えた。
暗き夜、宮に迷うなかれ。
汝を照らす明かりを見つけよ。

無事生きて帰るべし、幼き孫よ。
友を助けよ。友に助けられよ。
空屋敷重慶、カレーを作りて待つ也。
──────────────────────


