Eno.334 アップルミント

■ 継承

 

同族となりゆく島に、別れを告げる。


「…………」


またイチョウと会えるだろうか。
そうだったらいい。


ミント族は短命だ。最も記憶の継承をする為に、主観的には長命であるが。
短くて数年、長くて十年と少しで朽ち果て……根から新たに生まれ直す。

しかし、それでも──生まれ直す際に、一部の記憶が欠落することがある。

「……忘れたくないなあ」


思い出は風化し、記憶になり、そして消える。
だからこそ人間は、様々な方法で思い出を残すのだ。

次はどこに行こう?
どうせなら、人間のいる場所がいい。
──そこで、歌を教わってみようか。


いつか再び出会えた時、共に歌えることを願って。