Eno.452 【滅国の毒】サマエル

■ 偽りの楽園へ、悪魔より

‥‥僕は、『冒険者』になることにした。
いつかdolcetに帰る日のために。

魔術とか、魔法とか、あの世界にはないから。きっと勉強して行けば…もし持ち込むことができれば、すごく役に立つと思う。どの魔術なら有用かわからないし、自分に合うもの…とかもわからないから、なるべくたくさんのものを知る。
そのためには、多くの種類の魔術が使える人のそばにいるのが1番いい。
サートさんについていって、セトさまやベルお兄さんと一緒に頑張っていこうと思う。僕が一番子供だけど、役に立てるって証明するためにしっかりしないといけない。

メグルお兄さんやミツバお兄さん、アヤノちゃんやお姉さん…みんなが船を降りるのを見送った。正直なことを言えば寂しいけれど、仕方ない。…うん、仕方ない。だってみんな、僕と同じようにやるべき事があるんだから。

僕は…僕は、優秀な人になるために、勉強もいっぱいしよう。せーじもわかるように、あんな現状がおかしいってわかってくれる人について来てもらえるように。魔術も、もしあるのであれば人の心に細工できるものを習得しよう。冒険のために必要なものの片手間になるとは思うけれど。

連邦を根幹からひっくり返す。一度滅ぼして、再建した方がいい…ってなったとき、躊躇わないこと。感情を捨てることが必要になった時、躊躇わないこと。たくさんの犠牲が必要になった時、躊躇わないこと。…躊躇わないで、切り捨てられるようにすること。

心は、信念だけは強く持って。

未来に、僕らよりさらに遠い未来に、僕と同じような子を生み出してしまわないように。アヤノちゃんと、笑顔で再会できるように。胸を張って故郷に迎えられるように。

理想郷を壊すのは、『  』の仕事だから。
真の楽園を作る。それが『サマエル』の役目だから。



…遠い未来、世を揺るがす大戦まで、残り…………