Eno.360 シマシマ・ホルンフェルスベルグ

■ さよならジーランティス

***

「おーい。なぁに吹き込んでんだ」


「──げ、師匠。
 いや、シマシマからアドバイスを求められたんだってば!
 ホントホント……あはは……」


「自分を中心に、ありのままを……だっけ?
 バァカ、ただ単にお前の問題だろーが。ピュアじゃなくなったお前の」


「でもまぁなー、あながち間違っちゃないが。
 子供の頃にしかない感性ってモンは確かにあるからな。
 ただ……」


「一生に一度しかない経験だってある。
 問題は経験の真っ最中では、それの判別がつかないことだ。
 ましてや子供のうちなんて取捨選択以前の問題だ」


「ねぇ師匠〜。シマシマが口ぽかんとさせてるんだけど」


「決まりなんてないんだ、自由に書け」


「し、師匠〜。それもう先に言ったってば」


「…………。
 ……シマシマよ。お前は今、何を見て、何を思った?」



***

ふねにのっています。
みんなでつくったふねです。
いよいよこのしまとおわかれする日がやってきました。
いいえ、しまだけではありません。
あたしとおなじように、どこかからながされてきて、このしまで力をあわせてくらしたみんなともおわかれです。さみしいな。

なぜなら、みんなにはそれぞれ、もともといたせかいがあって、いっしょにいた人がいて、かえるべきばしょがあります。
だいたいの人は、そうです。
あたしも、そうです。
ししょーのところにかえりたいです。
まじょのおねーちゃんたちやあくまのおにーちゃんがいるところにかえりたいです。

でも、これがみんなといるさいごだっておもうと、やっぱりさみしいです。
もうバイバイしなきゃいけないのに。

みんなとすなはまでであった日。
キノコをめぐっておおさわぎした日。
あらしにそなえてきょてんをつよくした日。
アヒルちゃんでアヒルバトルした日。
キノコで7いろにひかった日。
みんなでそざいをかきあつめてふねができた日。
みんなでおいしいごはんをたべて花火を見た日。

すっごく大へんだったけど、あたしはどの日もわすれません。
ぜったいにわすれたくないです。
わすれようとしても、わすれられないのかも。
まほうをかければずっとおぼえてられるかな。

わすれないってわかってるのに、あたしたちはさいきょうなのに、どうしてなみだがでるんだろう。
ねぇおしえて、ししょー。