Eno.601 丁 稀

■ 丁 稀のメモ帳アプリ

今でも鮮明に思い出せる。

耐えがたい飢えと渇きを。
初めて持った斧の重みを。

クラスメイトの遠い声を。
親と先生たちの泣き顔を。

あの、途轍もない修学旅行を。
何かが決定的に変わってしまった瞬間を。


あのとき、ときめきの通りに行動すれば、
今頃は大海賊だったのかもしれない。
それとも、どこか遠くの海の藻屑だろうか。

何度望んでも、幾度海に足を運んでも、
それっきり、あの海域にたどり着くことはなかった。