Eno.648 ウェプトン・ウェブトン

■ 漂流日記(終わり)

この漂流日記もこれで終わりとする。
皆の力によって、なんとか船を完成させ、そして脱出することができた。
今でも信じられない。本当に。

……当初、どうせ私はまた一回死んでやり直すのだろうと思っていた。
諦めきっていたのだ。
どれだけ努力しようが、また死んで、あの深淵の如き暗さと痛みを味わい、またどこかで再生される。
それは、もはや地獄のようなものだ。
人はある程度すれば慣れるというが、私には到底慣れるものではない。
死ぬのは絶対に嫌だったが、この状況下ではあきらめざるを得ないと思っていたのだ。

筋肉の神に祈るようになったのも、肉体を鍛えておけば、ある程度の災難からは逃れられるからという理由だった。
それに、少しでも明るく振舞っていれば、気が楽になるから、という理由もあった。

ただ、この島には私よりはるかに若い者が数多くいた。
彼らだけは救わねばならない。
だから、それが、それだけが、私には踏ん張る理由となっていたのだ。
……そんな私の思いはただの甘さだったと思い知った。
彼らは、私のような男よりも、よほど強い者たちだったのだ。

ジョザイアの旦那は、最初の態度からどんどん立ち直っていき、皆を助けた。
フィオさんは自らも冒険者仲間から離され、孤立している不安を隠しながら、皆を支えた。
リザベラさんは、周囲の者をまとめ、導き、そして脱出までの道筋を作り上げた。
ダムスさんは、常に時間を多く蓄え、欠かせぬ仕事のすべてに携わり、船の完成まで導いた。
……そして、フロスは弱き私の心の支えとなってくれた。

おそらく、彼らとはまた別れることになるだろう。
ここが、そういう世界であれば、それもまた必然なのだ。
だが、それで彼らと育んだ絆が消えるわけではない。
私の中に、それは永遠に残る。
大切な、思い出として。

だからこそ、ここに感謝を記す。
皆、本当にありがとう。

そして、影ながら、姿を見せなかった人。
だが、確実に私たちを助けてくれた、もう一人の妖精さん。
貴方にも、本当に心から感謝を。

本当に、本当に、ありがとう。