Eno.452 【滅国の毒】サマエル

■ 失火楽園メランコリー!

僕のいた街はお世辞にもいい場所とは言えなかった。
四方を城壁みたいな立派な壁に囲まれてるのに、それに守られているはずのここはまるで治安が最悪で。

外敵から街を守っているのか、外を街から守っているのかわからないような有様だった。

子供たちは身を寄せ合って生きていた。
怖いことをする大人と、優しい大人を見分けて、頑張って取り入って、役に立たないといけないから。

そんな暮らしが嫌になって、抜け出そうって思い立って、見張りの人が入れ替わる瞬間を狙って、いつも連んでた子たちと一緒に壁の外に出た。

たまたま出た場所が悪かったんだ。
そう信じるしかない。

だって、目の前が断崖絶壁だなんて誰が信じる?
何のための壁だよ、って感じじゃない?

そこからはあっという間だった。
僕のいた場所だけが崩れて、海に投げ出されて。
助けようとした子が止められてるのを見た。
僕の名前を呼んでた、けど、

名前が、名前が、まるで

靄がかかったように思い出せない。





…僕の名前、なんだっけ?!




まあ、しばらくは…うん、これでいいや。
サミュ、ってことで。よろしく。

#クレナイ日記