■ プロローグ:獅子の子落としにも程がある!
ナンナが無人島から帰還した(でっかい石像を持って!)。
マテ貝掘りの最中に彼女が無人島に転移してしまったのは事故だったけれど、あの逞しすぎる妹は、見事にアクシデントを己の糧にしてきた。

「それだけならまだ良かったのに!」
よりにもよって、母さんがそれを利用できないかと、ロクでもない企みを始めてしまった。
……その結果が、この有様だ。
僕の一家は、みんな吸血種だ。
父さんは種族的な吸血鬼と吸血鬼喰らいのハーフ、母さんは典型的生ける死者の吸血鬼と、複雑怪奇過ぎて一括りにするのは難しいんだけど、母さん似の僕は「生ける死者の吸血鬼」に近くて、太陽光や流れ水に触れると力が抜けてしまう。
でも、他のみんなはそうじゃない。父さんは種族的にそういう弱点がないし(でも流れ水は嫌がってるんだよなぁ)、母さんは弱点克服済で白昼堂々とマテ貝掘りをするし、妹ふたりは父さんに似てやはり弱点がないし。
僕だけが、明らかに劣っていた。
妹ふたりを守りたいのに、それ以前の問題で、僕はふたりの前に立つことすら出来ていなかった。

「でもこの荒療治はないよなぁ」
そんな僕の悩みを解決するための手段があると、母さんが言い出した。正直、乗るんじゃなかった。あの人はこの前もジンローカン国とかいうところでマンションの部屋割りを引っ掻き回したりしたり、とにかくロクなことをしないからだ!
「ナンと同じく、無人島に行って生還してこい! その過程で流れ水も日光も大丈夫になるさ!! 多分!!」
――こうして、僕は今ここにいる。