Eno.510 ザイン

■ Prologue:無題の音声記録

 
あー、あー、聞こえますか?
聞き手が最も馴染んだ言語と手段で伝わるよう弄っておいたんで、
俺があなたの知ってる言葉をベラベラ喋ってる理由については深く考えなくていいですよ。

さて、まずは、おめでとうございます。
これを録ってる時の俺は、あなたが誰なのか知りません。
でも、このメッセージを聞いてるなら、あなたはそれなりのことをやり遂げた直後の筈です。

あー、いや。
もしあなたが全知全能の神とかだったら、大した仕事じゃなかったかもしれないですけど……。

まあなんにせよ、あなたにはリワードがあるべきです。
俺の左の眼窩に填まっている紫色の石を取り出してください。
それは一度だけ、あなたの心からの欲望を汲み取って、現実を書き換えてくれるでしょう。

俺が生まれた世界では、かつてこの力に万象が狂いました。
誰も彼もの欲望が具現化した世界は、極端な事象と矛盾が現実を引き裂いて、
ヒトが住める環境ではなくなってしまったんですよ。

けどね、これは本当なら凄くいいものの筈なんです。
使う人がよくなかっただけでね。

悪い怪物を倒したあなたなら、素晴らしい結末を生み出せるって信じてますよ。

ああそう。
あなたが俺を小指一本で倒すほどの存在だったら、ひとつお願いがあります。
あなたにはこんな玩具、全く必要ないでしょう。
だから、俺の目は適当な宙域にでも捨てといてくれませんか。
星空が好きだったんです。


……あヤバ、録音時間……。
じゃ、そういうことなんで。
よろしくお願いします。


……ぅし!
今度こそちゃんと録れたか~? ブツッ