Eno.32 ロジータ

■ とりあえず……無事で良かったな、と

まずはスエンと無事に同じ島に辿り着いたことを喜ぼう。
まだ流れ着いたばっかりだから安心するには早いが、同じ島に居るなら手の差し伸べようもあるってもんだ。
今のところ怪我もしてねェみてぇだし良かったぜ……本当に……。

……と言っても、命を削るんだ。
狙った場所に飛んでくれねぇと困る。
使ったのはもうバレてるだろうから、帰ったらこってり絞られるだろうなァ。
まァ……仕事にならねェんだから仕方ない。
大体こんな荒療治をするアイークが悪ィんだよ。
(俺は悪くねェ)

ナンナから聞いた通りに蒸留器の材料はなんとか確保した。
ふむ……あいつもちゃんとした旅をしてんだなァ……。
まさか、ナンナが話してたことが本当にここまで役に立つとは思わなかったぜ……。
まァ……奴は勉強がてんでダメなだけで、こういう方面の知識ってか経験によるモノだったら飲み込みが早いんだろうな。
伊達に剣術修行のためによくわからねぇ場所に行ってフラフラしてるわけじゃねえんだなって感心したぜ。
だがまァその……炭になった魚を焼き魚と言い張って食わせてくるのは正直やめてほしいんだが。

……そういやスエンも、料理の才能はそこまで、って感じだったなァ。
うーん……心配だ……。
もし食材を手に入れられたら、調理してから渡すとするか……。

あァ、そういえば、持っていく余裕がねぇなって思ってカメラを置いてきたんだが、
砂浜に落ちてたんだよな。
見たことねェ形のやつだが、まァ……使えるだろう。
ちょっと、今はまだそれどころじゃねェがな。