Eno.334 アップルミント

■ 如何にして侵略者は生まれたか

かつてその土地の人間は、種の保存に交雑を選んだ。
光合成や、強い生命力。
それらの恩恵は数多の食糧難を解決し、戦争を勝利へと導いていく。

人間は忘れていた。……いや、気付けなかった。
その生命力が、人間性さえ蝕むことを。


彼らは足を得た。
彼らは言葉を得た。
彼らは知性を得てしまった。


新たに得た足で、彼らはより良い土地へ進出する。
新たに得た言葉で、彼らは意志の疎通を行う。
新たに得た知性で、彼らは考える。


我々は人間だろうか? ──否。
我々はこのままで良いのだろうか? ──否。



全ての人間がミントになり、戦争は無くなった。
料理という文化が始めに廃れ、彼らが金属を避けた為に機械文明も廃れていく。
医療も必要ない。病に蝕まれたらその箇所を自切すれば良いし、最終的には一度死んで再び生まれれば良いのだから。

数多発展していた人の叡智は、次々と不要なものになった。

ミントに都合の良いものだけが残る。
ミントに都合の良い教えだけが継承される。

そうして。
長い年月をかけて、その星で栄えていた文明は滅んだ。







「足があるなら旅をせよ!
 昔のミントもそう言ってますからね〜」




……当のミント達に、自らが侵略者である自覚は無い。