■ *『さいごの記憶』
きつく瞑った目を開く。
水面越しの光が随分遠くに見える。
ちいさなあぶくが上へ上へと上がっていく。
それらを茫と眺めていた。
これがさいごに見る景色なら、まあ悪くはないのかな……
… … …
みんな、もうテントに入ったのかな。
静かになれば、聞こえるのは波の音だけ。
気が散るものなんてなんにもない。
この考えを止めてくれない。
わかってる。
これは夢なんかじゃないなんて事は。
でも、じゃあ、どうして?
どうして僕はここに居て、
置いて行ったはずの荷物がここにあって、
どうして、……
「………やっぱり、餓死は……嫌だな」