Eno.255 トワル

■ *『さいごの記憶』

 
きつく瞑った目を開く。
水面越しの光が随分遠くに見える。
ちいさなあぶくが上へ上へと上がっていく。
それらを茫と眺めていた。
これがさいごに見る景色なら、まあ悪くはないのかな……


… … …

みんな、もうテントに入ったのかな。
静かになれば、聞こえるのは波の音だけ。
気が散るものなんてなんにもない。
この考えを止めてくれない。

わかってる。
これは夢なんかじゃないなんて事は。

でも、じゃあ、どうして?

どうして僕はここに居て、
置いて行ったはずの荷物がここにあって、
どうして、……


「………やっぱり、餓死は……嫌だな」