Ino.62 ニューリゾートアイランド島
PL合わせはありません。ゆるゆると、どなたでもどうぞ。RP推奨。
STATS
2人 / 人数
カジュアル / 難易度
スモール / 広さ
OVERVIEW
誰でも歓迎。のんびりRP推奨。途中参加も遠慮なくどうぞ。
チャットとメッセージ
ゲーム中はチャットはALLと同じ表示がされ、またメッセージは公開されません。
エピローグ期間に入り次第チャットは通常公開され、メッセージはゲーム終了後に通常公開されます。
「ニ、……ニコせんぱいぃ〜……」
ややあって、洞窟ホテルの外から響いてくるか細い声。
誰のものかであるのを考える必要はないだろう。
そもそもあなたが拠点に戻っているのかも分からないが、
どうやら自分でドアを開けることも難しいのか、何故かいつまで経っても拠点内に入ってくる様子はない。
或いは、ちょうどあなたが戻ってくるところに出くわすのかもしれないが。
一方そのころ、岩場。
取り急ぎ拠点を増築したものの、結局雨風は完全には防げず。
もっともっと大きくしなきゃな……と考えながら、今は。
「……こんなのでいいんですかね……」
適当な木の棒にロープを括り、(ものすごく嫌悪感を抱きながら頑張って)先端に虫餌を取り付けた即席釣り竿を垂らしている。
嵐は過ぎ、天候は安定。ひとりで作業していたので、やっぱり汗は掻いているが、釣りの間は落ち着ける。
無反応な釣り糸ならぬ釣り紐の先を、ぼんやり眺めながら──
「……砂浜にSOSを書くのと……
それから、火。あれだけたくさん煙が出るなら、
誰かほかの船に気付いてもらえるかも。
そしたら、……そしたら……
……」
「……ん。
なんかロープ、引いて……うそ、釣れた?」
慌てて釣り竿を引っ張り、
「ぶええっくしょ──い!!」
女が飛び起きたのは、直撃した雨漏りにすっかり冷やされた体と、その大きなくしゃみでだ。
数度辺りを見回してから、誰の姿も見えないのに寂しさ半分、安堵半分。
これは流石に恥ずかしい。
「う~ん、日に日に進歩していく文明」
などと言いつつ、消えていない火で服を乾かし、念のためちょっと薪を足して。
十分に燃えているのを確認し、更にもういくらか薪を足して。
「こういうのって放っておいたらダメなんでしたっけ?
しかしかし、背に腹は代えられぬっ」
主に今まさに鳴っている腹にだ。
誰もいないので火へ「いってきます」の声をかけて、女は洞窟の外へ向かった。
「……ん、……」
雨音で目を覚ます。
昨夜の嵐には、やっぱり耐えられなかったのか、
VIPルームの中にまでところどころ、雨漏りが見て取れるけれど。
以前に比較するとそれは随分ましなほうで、進歩は着実に感じられた。
……もう少し壁を厚くできれば、完全に防げるだろうか。
もそもそと、あなたの腕の中から抜け出す。
外には重々しい黒い雲が迫りくるのが見える。……また嵐が来る。
「……ニコせんぱい、いってきます。
それから今日は釣り竿と、砂浜にSOSを、……」
あなたはきっと、まだ眠っているのだろう。
伝えようとしてのものではない。これは、自らへの確認だ。
「……」
「……脱出、……しなきゃ、だめですかね……」
その独り言のような呟きもまた、
自らへの確認だったか、それとも。
やがて少女は、資材を探しに拠点を発つ。
「……増築したドアと、VIPルームを信じましょう。
きっと大丈夫です……」
そう告げるのは、あなたに対してだったか、自分自身に言い聞かせるように、だったか。
とはいえ、奏波とて、とっくのとうに活動限界。
お風呂上がりに加えて、あなたの腕から伝わるぬくもり。
嵐への不安よりも、なお確かな安心感。
「……ふふ。いいですよ。
とくべつ大サービス、です。
けど、私だって使っちゃいますから」
ぴったりとくっつく。
胸元に顔を埋めるようにして。
「……おやすみなさい、ニコせんぱい……」
あなたが寝入ったことを察すれば、
少女もまた、まぶたを閉じた。
「タイヤに早々に出番をあげて、バリケード~! ……なんかも、ちょっと考えたんですけど。
また汗かくの、いやですし……
なんだか……もうすっかり、体も頭もお休みモードに入っちゃって……」
その声も既にふにゃふにゃしている。
閉じかけた瞼を開けたのは、その腕の中に熱を感じたからだ。
あのほかほかのお湯の温度の名残は、あなたを包み込む腕にもまたある。
何かとばたばたした後だ。湯冷めなどしていないことへ密かに覚える安堵すら、今や眠りへ誘うリラクゼーション。
「うん~? なんだかでっかい抱き枕をいただきましたねえ……
へふふふ、存分に使っちゃおうかなあ……」
などとうそぶきながら、腕の中にあなたを収めて。
「……おやすみなさい」
そう囁いたのが、最後の気力だったらしい。
すぐに寝息が聞こえてくる。
「ふぅっ、……
せっかく流したのに、また汗かくところでした」
なんとかセーフ。
ほかほかの余韻も台無しだが、
水着のまま嵐を直撃するより遥かにマシである。
様子を伺うあなたを不安そうに見つめていたが──
「……そう、みたいですね。
それにどちみち、今日はもう休むところでしたし。
……しつれいします」
手招きされれば、もう抵抗も遠慮もなく。
ブルーシートのベッドに身を横たえては、身を寄せる……
……というより、手招きに伸ばしたその腕の中に収まらんとするほどの接近ぶり。
石鹸の香り……はしないが、湯上がりのほのかな熱気が伝わってくる。
間も置かずに外からは葉を打つ雨音。風とともに強まるそれへ、扉の傍でしばらく耳を澄ませて。
部屋の中の方へ進んでも、しばらく周りを伺っている。
「……前の嵐の時より、気持ち音が小さいような気がしますね!
VIPルームに相応しい居心地! 頑張った甲斐がありました!」
と手を打って、ブルーシートの布団へ寝ころぶ。
すぐ下でガサガサ言う葉っぱたち……いい仕事してるね……
「それじゃ湯冷めしないうちに、この風とか雨とか諸々を子守唄にしちゃいましょう!
この調子なら、朝だっていい時間にモーニングコールが期待できますよ!」
横になったらいよいよもう起き上がる気がしなかった。
できることは、ほらほらとあなたを手招きするくらいだ。
「ですよねぇ~~~~!?
一番風呂、終わり! 二番風呂は嵐!! お席譲りま~す!!」
同様に弾かれるようにドラム缶湯船を上がり服を掴んで、着替えもそこそこにそのままVIPルームへ飛び込んだ。
「はい……なんかすごくいい感じです……。
冷たいな〜って思えてきたくらいで出ま……しょ……」
適当のたまいながら既に船を漕ぎ始めてさえいたが。
指差された先を認めるや、みるみる意識が冴え渡っていく。
「ええ……なんだかとっても見覚えが、……
……って、またですかぁーーっ!?」
ざばん。勢いよく立ち上がる。
「ででっ、出て着替えないと!
あ、でも万が一雨風が入ってくるなら水着のほうがいい?
……いえ、絶対カゼ引きますからっ!!」
つかの間のヘブンであった。
慌ててお風呂を上がる。燃え尽きた薪の始末は後回しでいい。
どうにか乾いてくれた服を引っ掴むと、急いでお着替えを済ませる。
「……ドアは補強しました。
VIPルームに籠もっていれば……平気だとは思いますが……」
それでもやはり、不安は拭えない。
「ゆっくり……したいですねえ……
ほら……ちょうどお布団くらいの温度になってきてません……?」
入った直後は時間が経ったこともあり、少し熱いくらいだったはずだ。
つまりもう火が消えている。誰も火を見ていないのである。
だがもうすっかり動く気力がない……これがニューリゾートヘブン……
「……ッハァッ」
そんな極楽から、何かを悟って突然意識を引き戻した。
「カナカナさん、あれ……
とんでもなく……見覚え、ありません……?」
湯から上げられた指が差したのは空の彼方。
幾度目か迫る黒い雲であった。
「はい……なんだか……
からだの奥底まで……沁みてくというか……」
ストレートなカワイイ発言に照れる余地もないほどの溶けっぷり。
漂着から嵐の夜を経て、更に身の丈に合わぬ重労働。
生まれて初めて、限界の限界まで突き詰めた果ての極楽たるや。
「……しょうじき、だいぶパワーいりますけど……
ほっといたら火が消えちゃうので……カゼ引いちゃいますよお……。
でも、……もうちょっとくらい、ゆっくりしてていいですよね……?」
ぐでーん。
水着とはいえ、狭いドラム缶にふたり。そこそこ小っ恥ずかしいシチュエーションのはずなのだが、
既にそんなことどうでもよくなっていた。
これがニューリゾートヘブンの魔力か。
名前がとんでもなく怪しいのは気にしてはいけない。
「はっふぅ~~~~~~………………」
ぶくぶくと、湯に顔まで沈めかねない勢いだ。
ちょっと口に入った分がしょっぱい。海水だからね。
「お風呂って……こんなに、気持ちいいものだったんですねえ……
…………これは……
上がるのに、パワーが要りません……?」
今、ニューリゾートアイランドはニューリゾートヘブンに進化した。
そう確信するほどの極楽。
これは……逃がしてくれそうにない……このまま寝かねない……!!
「おおっ、かわいい~!」
水着姿への素直な感想は歓声として現れた。
すぐ見られなくなっちゃうんだなあ……という若干の残念感はあれ、それでジロジロと人を見るような先輩ではない。
待ち時間の間に干しておいた服OK、あなたの声に従い……
「ではレッツ、一番風呂!
3! 2! 1――!!」
「はっ、はいっ!!」
すごい水着ですね!? とは思ったが、口が裂けても言えやしない。
なにせ拾いもの。彼女が選んだわけではないのだ。
でもニコせんぱいも、こういうの着そうだな……
とはちょっぴり思ったが、やっぱり言えなかった。
「それでは失礼してっ……!」
ぴゃっと入れ替わりVIPルームへ。
華麗なる早着替え。都合よくサイズピッタリな薄桃の水着。
それよりも髪を解いているほうが印象深いか。
なお、体型はトントンである。
大きいドラム缶に小さいドラム缶がふたり入る。
てきぱきと、着ていた服を枝に通して焚火付近に干しては。
「それじゃあ……行きますよ、ニコせんぱい!」
お湯が溢れないように注意しつつ……いざ! 至福の時!
「……むむむ。
むむむむむむ」
あなたの提案があってから、しばらく缶と、あなたと、自分とを順繰りに眺めて。
幸い、二人の体格に比してドラム缶は大柄である。水着ならまだ抵抗も薄いし、服だって乾かせる。
そして何より……
「よし! それじゃあ……やりましょう、ダブル一番風呂!
そうこうしているうちにいいお湯加減が逃げますよっ! ダッシュで!」
火は今も缶の下で燃えているのであった。
そうと決まれば行動が早い。
じゃあちょっと失礼して……とVIPルームへ消え、戻ってきた時には真っ赤な水着に着替えて、どうぞ、と両手で扉を指す。
細さを抜きにすればドラム缶によく似た体型であった。
「うぇっ!?
そ、そういえばそんなこと、言ってましたけど!
ニコせんぱいだって、たくさん頑張ったのに……」
悩んでいるうちにも、ドラム缶風呂はホカホカと蒸気を湛えている。
その様の、なんと魅惑的に映ることか。
うーん、うーん、首を捻り捻り……。
「……さっき、私も水着、拾ったんで……
合計ふたつあるんですけど……」
と、前置きした上で。
「……第一島民もふたりなんです。
一番風呂もふたり、いけませんかね……?」
少女は、へんなところが強情で、かつ強引だった。
実際のところドラム缶のサイズ感に依るだろうが、はたして。