Eno.319 ニシュプニケ

...夢の中...




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ニシュプニケはどこまでも真っ白な、寒い寒い『雪の国』で生まれました。
寡黙だけど優しい“父”と、短気だけど聡明な“母”と共に暮らしておりました。

しかしニシュプニケは知っています。彼等は“両親”の形をとっただけの、“僕”である事を。
“僕”等は“君”を探す事を使命とした、同一の存在であるという事を。
やがては自分も、その旅に出るのだという事を。


──しかしニシュプニケは見つけ出せませんでした。


どうやら君はもう、僕の手の届かぬ所にいるらしい、と。ニシュプニケははっきりと分かってしまったのです。
だからきっと今のニシュプニケに意味も、価値も無くなってしまったのです。
ならば早く自分も、次の“僕”に役目を届けねばなりませんでした。

そして新しい世界で、また。

“僕”は愚直に、無様に、



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「“君”でない“しあわせ”なんて、わたしたちにありえるかしら」

「だれかがいったのよ。“僕”にそうねがったの」



「どうだろう。僕は君以外必要無いけれど」

「──には必要かい?」



「わたしは……」