Eno.326 アイーク

プロローグ:バロメッツの噂を聞いて

 今まで様々な世界を渡って冒険してきたオレだが、耳にはしていても実際に目にしたことがないものはいくつもある。

 そのひとつが、バロメッツ――「羊の生る植物」だ。

 大体の世界におけるバロメッツは「羊と植物の融合した魔物」みたいな存在であって、純然たる植物のそれに出会ったことは、驚くべきことに今までなかったのだ。

 それがこのジーランティスにある。つい最近この世界から生還した者からもたらされた証言だった。
これはこの目で確かめ、機会あらば持ち帰るしかあるまい。

 幸いにもオレはレンジャー。野外活動ならお手の物…………の、はずだった

あれ、全然体が動かないんだけど



 知識はある。けれど体がすっかりそれを忘れてしまっている。わかりやすく言うと完全に腕が鈍っていた

 そういえばオレがレンジャーをしていたのはかなり昔の話。最近は某年末年始の「お祭り」で暗黒術使ってゾンビになったり、混沌のダンジョンで暗黒術使って空を闇で覆ったり…………まぁ要するに、どう見ても暗黒剣士じゃんと。
 ご丁寧に混沌のダンジョンから背後霊くんまでついてきてしまったし。コイツ、専用装備使わないと消せないんだよなぁ……まぁ邪魔にはならないからいっか。

 んでもって、その暗黒術も、試したけれど殆ど起動しない。周囲の敵全てを爆発四散させたり、逆に自分が爆発四散したり、そんなことはなにもできにゃーい

うん、ダメじゃん、オレ!



 とりあえずの知識だけでどれだけサバイバル出来るか、ま、これも冒険だな!