Eno.204 半人半鯨のフート

人魚が冒険するということ

フートは半人外と呼ばれる固有の種族である。
彼女の身体は人魚に近いが、彼女の肉を食べても不老不死になる事はなく、彼女の歌が人を惑わせることもない。

そもそも、鯨は哺乳類である。
というのも、ほんの少し語弊があるが。伝われば良い。そういうものだった。


半人外という種族は、国柄として好奇心が旺盛であり、
旅を生業とする者が多い。
その異形の姿は、旅を諦める理由には何らならないのである。

(車椅子が恋しいですね……)



思っていた以上に人がよく、行動力がある。
そんな新たな隣人たちのことを思いながら、
フートは下半身についた砂をヒレで払った。

フートの車椅子は特別製だった。
魔力で動き、ぬかるんだ道も厳しい山道も、その二つの車輪が運んでくれる。そういうものだった。
もちろん、仲間にその背中を押してもらうのも、好きだったのだが。

今は、不器用でも自力で。
文字通り這って進むのが最善ではあるが。
気遣ってくれた青年には、感謝しなくてはと思うフートだった。