Eno.392 キリル・クリロフ

無人島……のようだな

どうやらここは無人島のようだ。それなりに大きい、と言えるだろう。
他にも数名の漂流者がいる。全員がテントかそれに類する物を持っていたのは幸いだ。
密集して建てる事で、随分と海風からの影響が少なくなった。

それはともかく、湧き水の類もないとみてよさそうだ。
早めに水を確保しておきたいが、難しいかもしれない。最低でも蒸留設備は必要だろう。
問題は、どうやってそれを手に入れるかだが……。
雨でも降れば。いや、容れ物が無いか。

そう。入れ物だ。

どうやらこの島では、物をその辺に放置しておくと風や波でどこかへ行ってしまうらしい。
つまり、広場に物を置いて暫定倉庫にする事は出来ない。
しっかりとした、施設としての倉庫が必要なようだ。
それに、瓶に入っていた手紙には最初から「コンテナ」の作り方が書いてあった。
必要な材料が随分と多いにもかかわらず、だ。
という事は……必要なのだろう。

しかしだ。
しかしこれは、素晴らしい機会だ。
開拓と開発は男の夢。すなわち私の夢だ。それが、こんな形で叶うとは。

テント群ももっとしっかりした拠点にしよう。
周囲に頑健な壁も作ろう。
倉庫とコンテナを作り、十分な物資を蓄えよう。

やることは山ほどある。
……意図せず漂流し、体力のない人間もいる。

開拓をしよう。開発をしよう。
――環境を原因とする人死になど、ゼロになればいい。