Eno.398 佐藤三

「ただの臨海学校だったのに、なんだか大変なことになっちゃったね。
 せっかくだしちょっとお話しよっか」



「じゃあ……写真を撮ると魂を抜かれる話。」



「有名な迷信だよね。
 今でも信じてる人が結構いるみたい、ネタだと思うけどね。」



「写真は元々江戸末期に入ってきてね
 当時は写実的な絵を『生き写し』と評価してたの。」



「当時の人に写真の原理は理解できなくて…人がそのままの姿で映し出される写真は、まさに『生き写し』だったらしいよ。
 そのせいで、姿かたち以上に『魂』まで写ったと思ったんだろうね。
 それで、映った分魂まで取られちゃうんじゃないかって思ったのが始まりかな?」



「実際当時の人は、写真を撮ったら疲れを覚えてたんだ。
 だから余計にそう思ったんだろうね。」



「でも問題は当時の写真機の性能に問題があったんだぁ
 最初に発明された写真機は撮るのに8時間。
 次に改良されてぐーんと縮んで30分。
 それで色々改良して2分。」



「その間ず~っとジッとしてないといけなかったし
 そんなに長く笑顔を保つことなんてできないよね。
 だから、昔の写真は仏頂面の人が多かったんだぁ」



「写真を撮ったら疲れる。その疲れを魂が取られたせいだって思ったのかな?」



「でも今はいいよね、こうやって画面を指でタップするだけで写真が取れちゃうんだから」



「ん?」



「いきなりでびっくりした?ふふ、そっかぁ」



「じゃあ、髪の毛一本分の魂。貰っちゃったかな」