Eno.248 山田景

折れた刀のことと折れそうな心のこと

「うう、斬鬼丸‥‥可哀想に。
こんなにぽっきりと折れてしまって。」

皆が寝静まる丑三つ時。
黒い影はテントの外で、暗い中、手元の折れた刃物を見ながらすすり泣いていた。
間に合わせでなんとかしようにも研げるような砥石もなく。
折れた刃物は星々の輝きを受け、鈍色の光を放つ。

「ですが、このように都合の良い状況なのです。
主命を果たし、仕留めねば‥‥射止めねば‥‥
ああ、今を逃せば次の機会なんて。」
「ですが‥‥却って‥‥この状況なら。
失敗したとしても釈明できます。
あはははは‥‥。」

乾いた笑いが夜空に一つこだました。