Eno.226 ケリヨト

ここに来る少し前の話 過去2

英雄と呼ばれた男は、ことなかれ主義の、自尊心の低い男だった。武芸に恵まれないことにコンプレックスを抱き、国を護る魔法装置を多く作り出して英雄の名前をほしいままにしたが、その材料に何が使われているかは知らない気の優しいお坊ちゃんだった。

勿論、私たちの種族のことなど知るよしもない。
散々「僕なんかが英雄なんて」とほざいていた。

ふざけるな。
私たちの屍で作られた城の上で悠々自適の生活をしているくせに、自分がさぞつらくて不遇のような言葉を繰り返す。

私は英雄が大嫌いだった。