Eno.138 丁字 深令

遭難1日目

「面白い事が起こりそうな場所だとは思っていたけれど、まさか遭難するのは予想外ね」

水に濡れて宛名がぐしゃぐしゃになっている招待状を片手に、もう片方の手でポケットに残っていたクッキーを一つまみ。
多少の湿気りは気にせず、ペットボトルの紅茶を潤滑油にして胃の中へと押し込んだ。
探偵、怪盗、ライター、女子高生、謎のこども……思った以上に様々な人がこの島に流れ着いている。
おそらく幾人かは寛次郎さんから招待はされていないのだろうが……。


「まあ、それは私も一緒なんだけれど」

水に濡れた招待状の宛名……名字は判別できないが、名前の部分は何とか判別できるだろうか。
──美鈴みすず、という字が其処にあった。