Eno.322 Type-R

1日目

オリジナルの行為になぞって、僕も記録をつけていくことにしよう。
天使である僕に忘却という概念は存在しないが、
こうして書き留めておくことで、第三者に見せることがあるかもしれないからね。

ああ、あるいは。手紙という形の方が正しいのかもしれない。
いや、出す相手もいないんだ、こうして記録にしておく方が良いか。

人の身体を得て、自由に活動するというのは慣れるまで難しい。
喉の渇き、空腹、泥水を啜った吐き気、入浴をするとのぼせる。
知っているとはいえ、実際に経験してみるのとは随分と違うな。

僕に『桃』という名前を与えた紅雨。
3度目の大ベテランだというソガマ。
眠りこけていた桃色の髪の子。
ここで音頭をとって皆に声をかけているネヌ。
それから、顔を合わせては無いけどもう一人居るようだ。
最後に、…………、イザヤ。
それと僕の、7人。
かつてオリジナルが流れ着いた島に比べれば随分と大所帯だ。
こんどこそ、今度こそ皆で船に乗って脱出するために、僕は尽力しよう。

……ただ、この身を縛る後悔は、僕のものではなくて、あの子のものだけど。

それにしてもイザヤが居るのは驚いた、
可能性としてはゼロじゃないから、別におかしなことではないのだけれども。
ああでも、早速怪我をしていたみたいで、心がぞわぞわとする。
これから何度も見る事になるのだろうな、嫌だな。
どうにか……どうにか、手を打っておきたい。
焼け石に水かもしれないけど、何も出来ないのは……。

それと、ネヌの聡明さは、どこか君を思わせるのだけれども、気のせいだろうか。
シュパーズ、もしかしたら君と案外同じ世界出身かもしれない。
……なんてね。許されたいだけの、都合のいい妄想だ。


明日も頑張ろう。