Eno.419 鈴雪スグリ

森林にて

バキバキと樹の割れ倒れる音。
何本目かの丸太を伐採し、
少女は天を仰いだ。

太陽は頭上に遥か高く、それでも木々の合間を縫ってさんさんと降り注ぐ。
額に滲む汗を拭う。

……一時はどうなることかと思ったが、
案外どうにかなっているものだ。
破天荒な状況に慣れすぎているのも、考えものかもしれないが。
とはいえ……

「……半人半鬼ハーフではありますが……私もまた、吸血鬼」


「“乾く”ものは“乾く”……、……」



「……いえ。まだ問題はありません。
 私より彼らのほうが、余程。文字通り、死活問題でしょう」


「けど……考えないと、いけないかな……」



 かぶりを振って、再び斧を握り締める。
 単純労働は無心になれるから好きだ。
 逃避するつもりはないが、今はただ、与えられた仕事を忠実にこなすとしよう。