Eno.890 如月 静空

無題

 東京での生活はいいものだった

 バイトをしたり、服を買ったり
 色々な出来事があったけど、私のいていい場所ではないと思った

 だから、別れを告げる前に海を見ようと思った

 私の故郷の海は泳げたもんじゃないから
 澄んだ海を一度でいいから見てみたかった

 携帯電話に海の写真を収めた
 母さんもきっと、気に入るだろうと思った

 でも気付いたら、私はこの島にいた

 携帯電話もなくした
 かろうじて使えるのは、カバンに入れてた家出用のテントと普段着の替えと
 魔力が滴るナイフだけだった