Eno.226 ケリヨト

ここに来る少し前の話 過去3

やがて、他国侵略で肥太ったベルトン王国は少しずつ壊死を始めた。
貴族院の腐敗に力を持ち始めた軍が政治闘争を繰り広げ、天災による作物の不作によって国民の不満が噴出し、弾圧によって公開私刑と処刑が横行した。それは私が仕える英雄にも及んだ。
何のことはない、世渡りが上手くない大層な肩書き持ちのかつての英雄は憂さ晴らしとスケープゴートにぴったりだったのだ。

これは私にとってチャンスだった。
私は英雄を牢から連れ出し、逃亡生活を開始した。

無罪の英雄を、本当の大罪人にするために。
「アルバ、どうしたんだい?」
「いいえ、何でもありません。」